研究をするようになって気づけば日々いろいろな理由で論文に接している。これから書こうとしている論文のための参考文献とかならフォルダを作って全部入れておけば、また読みたいときにすぐ見つけられる。しかしSNSで誰かが紹介してたとか趣味でネットサーフィンをしているときにたまたま出くわした文献だと覚えていられるだろうか。これはいつか自分の研究で使えそうな知見だなと思えてもすぐに忘れ去ってしまうか、どこに保存したかわからなくなってしまうし、タイトルもあやふやだ。そして季節の移ろいの中のほんの些細な出来事でふと思い出して、どうして今までこんな大事なことを忘れていたんだろうと自分が信じられなくなる。そんなことにならないようにメモを残しておこう。
76. Electron-Hole Scattering and the Electrical Resistivity of the Semimetal TiS2, doi.org/10.1103/PhysRevLett.37.782
補償された(正孔と電子のキャリア密度が等しい)半金属において抵抗の温度依存性がどうふるまうかの議論。
BZ内の中心か端に小さなキャリアポケットがある状況を考える。その場合運動量を保存するe-e散乱は起こりえないという議論をしている。ポケットがBZ中心にあるときは成り立たない議論だと思う。その場合、同種キャリア間の散乱は無視できて、e-h散乱が主なキャリア間散乱メカニズムになるとしている。伝導率は以下で与えてある。
σ=e2μ[(ne−nh)2nenhmemhτip+(1/me+1/mh)2(11/τeh+1/τip)]
ここでμ=(1/neme+1/nhmh)−1, ne/hはキャリア密度, me/hは有効質量, τipは不純物散乱およびフォノン散乱の緩和時間逆数和, τehは電子-正孔散乱の緩和時間。完全に補償された半金属ではne=nhになることが大事で、抵抗率は
ρ=1ne2(1/τeh+1/τip1/me+1/mh)
フォノン散乱がなくなる十分低温では、1/τeh∝T2によってρ=ρ0+AT2になる。フォノン散乱が効いてくる高温でもT2項はあるのでρ=ρ0+BTには一見従わない。要はρ−T曲線が下凸になるようだ。
Eq. (9)直前のFig. 1はFig. 2のタイポ。
対象物質のTiS2ではstoichiometricなとき、低温から室温までの広い温度領域で抵抗率はT2に従う。
75. Phonon-engineered extreme thermal conductivity materials, doi.org/10.1038/s41563-021-00918
熱伝導率の高いものから低いものまでレビュー。
最も低い熱伝導率はキセノンガスの0.006 W/m K, 最も高いのはダイアモンドの2000 W/m K。続いて、空気(air)が0.026 W/m K, ポリマーが0.1 W/m K, SiCが460 W/m K。
金属では電子熱伝導度はWF則で決まり、銀の429 W/m Kが最大。絶縁体なら格子振動が熱伝導を担う。結晶ならPeierlsのBoltzmann方程式を使った運動学的フォノンガスモデルが有効だが、アモルファスだと周期性のなさのため正準モードはありつつも波数ベクトルの定義はできなくなる。Allen-Feldman理論ではアモルファスの振動モードをpropagon, diffuson, loconとして熱伝導を理解しようとした。
アモルファスは低温でκ∝T2を示し、プラトーを超えて漸増していく。Allen-Fledman理論は伝統的な二準位系のトンネル理論(PW Andersonら)を越えて理解しようという試み。
propagon: phonon-likeな進行波、diffuson: ランダムウォーカー、locon: 局在したモードで熱伝導に寄与しない。低温ではpropagonが∝T2に寄与するが、温度が上がるとプラトーを示す。高温ではdiffusonが寄与し始める。プラトーの前後の推移を説明するモデル。
熱伝導のSlack理論ではデバイ温度より高い温度で
κ=AˉMδθ3γ2TN2/3
としている。高い熱伝導度には軽くて硬いもの、低い熱伝導度には重くて非調和性の高く、単位胞が大きく複雑なものがよい。単結晶でも熱伝導度が低いもの:doi.org/10.1038/s41467-022-32773-4 (Cs3Bi2I6Cl3)
74. An anisotropic model for the minimum thermal conductivity, doi.org/10.1063/1.4935467
WSe2の理論極限からのずれを受けて、Cahill 理論(doi.org/10.1103/PhysRevB.46.6131)を異方的な物質に拡張した最小熱伝導理論。WSe2の熱伝導率も説明できるようだ。
73. Kapitza conductance and heat flow between solids at temperatures from 50 to 300 K, doi.org/10.1103/PhysRevB.48.16373
異種物質界面における熱抵抗をKapitza resistanceという。接触抵抗の熱伝導バージョンみたいなもの。Rev. Mod. Phys: doi.org/10.1103/RevModPhys.61.605, doi.org/10.1103/RevModPhys.41.48。多層物質の熱伝導率を議論するときはこの界面熱伝導率をG (W/m2K)として熱伝導の式を
˙Q=GΔT
としたときに薄膜厚さδで割ってκ=Gδとしている。
72. Ultralow Thermal Conductivity in Disordered, Layered WSe2 Crystals, doi.org/10.1126/science.1136494
#25関連の熱伝導の下限に関する話。先行研究:(porous xerogel films、とても熱伝導率が低い) doi.org/10.1063/1.1448407, (Ta/TaOx、理論的下限よりも低い) doi.org/10.1063/1.1931827, (W/Al2O3、理論的下限より低い) doi.org/10.1126/science.1093711。理論:doi.org/10.1103/PhysRevB.48.12581, doi.org/10.1103/PhysRevB.46.6131, doi.org/10.1016/0038-1098(89)90630-3
doi.org/10.1103/PhysRevLett.110.015902, doi.org/10.1103/PhysRevB.88.075310 (フラーレン類似物質)
格子振動の平均自由行程が格子定数くらいになるときが熱伝導の最小だろうという考察から
κmin=(π3)1/3kBn2/3∑i(TΘi)2∫Θi/T0x3ex(ex−1)2dx
を提案している。iはフォノンの三つのブランチの和。nは単位体積当たりの原子数。デバイ温度はΘi=vi(ℏ/kB)(6π2n)1/3。密度と音速は別途実験で見積もれるので最小熱伝導が見積もれるわけである。
71. First principles kinetic-collective thermal conductivity of semiconductors, doi.org/10.1103/PhysRevB.95.165407
#64とも関係。KCMの話。
70. The heat capacity of matter beyond the Dulong–Petit value, doi.org/10.1088/0953-8984/25/23/235401
比熱は高温でデュロン・プティに従うとよく言われるが、非調和性のためにそうはならない。という話。マニアック。
69. Thermal Conductivity, Second Sound, and Phonon-Phonon Interactions in NaF, doi.org/10.1103/PhysRevB.3.1428
Callawayモデルの検証。やや古い。これらも参照:doi.org/10.1098/rspa.1965.0248, doi.org/10.1088/0370-1328/85/5/310, doi.org/10.1103/PhysRevB.56.9431 (Callaway/Holland modelの比較)
68. Anharmonic crystals, doi.org/10.1088/0034-4885/31/1/303
格子振動の非調和性により生まれる物性まとめ。マニアック。
67. Phonon hydrodynamics in crystalline materials, doi.org/10.1088/1361-648X/ac718a
フォノン流体力学の比較的最近のレビュー。
66. Examining the Callaway model for lattice thermal conductivity, doi.org/10.1103/PhysRevB.90.035203
#63とCallawayモデルを比較。Allenの提案したCallawayモデルの改善案はバリエーションの一つに過ぎないようだ。実際両者を比較すると前者がよくなったり後者がよくなったりどっちもどっちのようだ。計算がより簡単なのはどっちかとかそういう観点で使い分けたりするべきもののようだ。
65. Failure of the Callaway description of heat flow in boron arsenide and boron antimonide driven by phonon scattering selection rules, doi.org/10.1103/PhysRevB.108.155201
#63-64を考慮しても、Callawayモデルの取り扱いではBaAsなどの超高熱伝導率材料の熱伝導は説明できないよという論文。モデルに導入されている仮定が物質によっては成り立たないということらしい。
64. Umklapp scattering is not necessarily resistive, doi.org/10.1103/PhysRevB.98.180302
Callawayモデルの修正としてN過程とU過程の分類が指摘されている。本来は3-phononプロセスなどで全結晶運動量が保存するものをN、保存しないものをUとしているが、熱流の流れている方向への射影成分が保存していればN、そうでなければUとすることを提案している。嘘のように当たり前のことでなんで今まで気づかなかったのか驚きである。異方性の高い物質で特に重要。これも参照:doi.org/10.1103/PhysRev.148.778, doi.org/10.1063/1.4871672, doi.org/10.1103/PhysRevB.95.165407。熱伝導がkinetic regimeなのかcollective regimeなのかはUとNの比率で変わるようだ。
ざっくりいうとこれまでU過程と思っていたものをN過程として取り扱うので、モデルとしては熱緩和しにくくなるので熱伝導率の評価値は大きくなる。オリジナルのCallawayモデルの取り扱いでは過小評価していた材料に対して有効であろう。
63. Improved Callaway model for lattice thermal conductivity, doi.org/10.1103/PhysRevB.88.144302
#61でも触れた論文。熱流の緩和に関するN過程の効果を考えて熱伝導の表式を導いた論文としてCallaway (1959): doi.org/10.1103/PhysRev.113.1046が古くから知られているが、本論文によると取り扱いに変更の余地があり、これを修正したとするもの。Fig. 1をみるとオリジナルのCallawayモデルだとデバイ温度より低い温度での熱伝導を過小評価してしまうようだ(最大7分の1!)。N過程は低温での抑制(p=2)がU過程(p 3)や不純物散乱(p=4)よりも遅いのでこれの取り扱いが適切でないと評価のずれは著しいようだ。
熱伝導率の式はデバイモデルで(doi.org/10.1103/PhysRevB.101.100407)
κ=kB2π2v(kBℏ)3T3[∫ΘD/T0x4ex(ex−1)2τC(x,T)dx](1+¯τC(x,T)/τN(x,T)¯τC(x,T)/τR(x,T))
ここでx,Tに依存する関数f(x,T)に対して¯f(T)とは
¯f(T)=∫ΘD/T0x4ex(ex−1)2f(x,T)dx/∫ΘD/T0x4ex(ex−1)2dx.
またτ−1C=τ−1R+τ−1Nであり、τR/Nはそれぞれresistive process, normal processの散乱時間である。カッコ()の手前までがボルツマン方程式の近似として一番簡単な緩和時間近似で、N・Rプロセスにかかわらず熱緩和が起きるとして、総散乱時間(τC)をマティーセン則で見積もっている。N過程は熱流の緩和に寄与しないことの効果がカッコ()内の因子として加わるわけである。
フォノン分散の異方性まで考えるならデバイモデルのエネルギー積分のところを運動量空間での積分に書き直すことになる。
#66ではCallawayモデルとAllenによる修正を比べている。結局どっちがいいのかよくわからない。
#61ではCuOのフォノン分散を考慮して熱伝導の異方性を解析している。なおかつフォノン分散の異方性では説明できない成分がマグノンによるものであると提案している。Sanders-Waltonモデルへの言及もあり、近年まれにみる磁性体の熱伝導に関する誠実な解析をしている論文である。
62. Ioffe-Regel criterion and diffusion of vibrations in random lattices, doi.org/10.1103/PhysRevB.87.134203
ガラスなど準粒子としてのフォノンが定義できない物質での熱の流れ方。1 K以下の低温ではκ∝T2になるらしい。
doi.org/10.1103/PhysRevLett.62.645, doi.org/10.1088/0034-4885/50/12/003
61. Anisotropic thermal conductivity of CuO, doi.org/10.1103/PhysRevMaterials.8.124403
格子熱伝導を計算するときはCallaway modelがよくつかわれる。このときフォノン緩和時間とフォノン分散の異方性をどこまで考慮するかでこだわりが現れる。また非調和性によるN過程とU過程の違いも重要だ。いわゆるN過程のみだと熱流って緩和しないよね問題だ。熱伝導の理論式はいくらでもこじらせられそうだ。下記の参照:doi.org/10.1103/PhysRevB.88.144302 (Callaway理論の再検討), doi.org/10.1103/PhysRevB.42.5822,
60. A unified explanation of the Kadowaki–Woods ratio in strongly correlated metals, doi.org/10.1038/nphys1249
KWプロットがずれる報告がいくつかある(doi.org/10.1143/JPSJ.74.1107, doi.org/10.1016/S0379-6779(97)80325-6)。これを修正する方法。
59. Electron-Electron Scattering in Transition Metals, doi.org/10.1103/PhysRevLett.20.1439
KWプロットはKasowaki&Woods (1986): doi.org/10.1016/0038-1098(86)90785-4が知られているがそれ以前にもA−γ2のプロットはあるようだ。
58. Low-Temperature Electrical and Thermal Resistivities of Tungsten, doi.org/10.1103/PhysRevB.3.3141
抵抗の温度依存性をT2を横軸にプロットしてAT2+BT5でフィットすると電子-電子散乱がちゃんと求まっている。タングステンはフェルミエネルギーがバカ高いのでAは極端に小さい。
57. Electronic thermal resistivity and quasiparticle collision cross section in semimetals, doi.org/10.1103/PhysRevB.110.155119
抵抗のT2則調べてみました。フェルミエネルギーが小さいほどprefactorは大きくなる。これもdoi.org/10.1038/s41467-020-17692-6参照。
56. Low-temperature specific heat of doped SrTiO3: Doping dependence of the effective mass and Kadowaki-Woods scaling violation, doi.org/10.1103/PhysRevMaterials.3.022001
法則が破れるときシリーズ。Kadowaki-Woods則。
55. A lower bound to the thermal diffusivity of insulators, doi.org/10.1088/1361-648X/ab2db6
下限シリーズ熱拡散率。κ/C。
54. The temperature-dependent electrical resistivities of the alkali metals, doi.org/10.1103/RevModPhys.62.645
抵抗率の解析に使えそう。
53. Ballistic magnetic thermal transport coupled to phonons, doi.org/10.1103/PhysRevB.104.024429
Sanders-Waltonモデルをバリスティックなマグノンがいるときに拡張。いつか使いたい。
52. Thermal conductivity tensor in YBa2Cu3O7−𝑥: Effects of a planar magnetic field, doi.org/10.1103/PhysRevB.66.064525
磁場中の電子系の熱伝導率の経験式を与えている。いつか使いたい。
κxx(T,B)=κphxx(T)+κelxx(T)1+βe(T)Bn
51. Characterization of the spin-1/2 linear-chain ferromagnet CuAs2O4, doi.org/10.1103/PhysRevB.89.014412
比熱解析の別パージョン音響フォノンと光学フォノンの比熱曲線の先頭にパラメータを導入して各原子がどれにどれだけ寄与するかを可変になるようにしている。
Cp=fDCDebye+∑igiCEinstein,i
ここでCDebyeはデバイモデルでの比熱曲線。音響フォノン3モード分。CEinstein,iは光学フォノンの比熱曲線。パラメーターfD,giはモードの数の帳尻を合わせるファクターで合計してf.u.あたりのモード数になるようにする。CuAs2O4ならfD+g1+g2=7。解析結果ではfD=1.5と置かれており、音響モードに4.5モード分割り当てている勘定になる。物理的に不自然。
50. K2Co2TeO6: A layered magnet with a 𝑆=1/2 Co2+ honeycomb lattice, doi.org/10.1103/PhysRevB.108.174432
比熱を解析するときにデバイ曲線を二本導入するモデル。それに伴い、デバイ温度も2つパラメタライズする。物理的に正当化できないと思う。よりそれっぽい議論:doi.org/10.1016/0022-3697(56)90010-5
Cphonon=9R∑2n=1Cn(TΘDn)3∫ΘDn/T0x4ex(ex−1)2
ここで、C1+C2=n, nはf.u.あたりの原子数(K2Co2TeO6なら11)となるようにして帳尻を合わしている。
49.High-Temperature Thermal Conductivity of Insulating Crystals: Relationship to the Melting Point, doi.org/10.1103/PhysRev.115.564
デバイ温度と融点と高温熱伝導。
48. Correlation of Properties of Materials to Debye and Melting Temperatures, doi.org/10.1088/0031-8949/10/6/011
デバイ温度で物質の融点とかを見積もれそう。
47. Specific heat in some gadolinium compounds. I. Experimental, doi.org/10.1103/PhysRevB.43.13137
#2で紹介した比熱を組成式に応じて校正するアイディアに似ている。
組成式RmXnYpで書かれる物質のデバイ温度がΘD(RmXnYp)のとき、Rを別の元素R′に置き換えた物質R′mXnYpのデバイ温度は
ΘD(RmXnYp)ΘD(R′mXnYp)=(m(MR′)3/2+n(MX)3/2+p(MY)3/2m(MR)3/2+n(MX)3/2+p(MY)3/2)1/3
とrenormalizeされるとしている。この近似の可否の評価はおいておく。#2だとLuとYの化合物における比熱が分かっていないとその間のRに対して内挿できなかったが、これならどちらかが分かっていればどのRに対しても見積もれる。ここで、CR∼(TΘD(RmXnYp))3=A(m(MR)3/2+n(MX)3/2+p(MY)3/2)とすると#2の公式が導ける。ここでは組成式がある程度近い物質間のことを議論していたが、組成が全く違っても数式的には校正できてしまいそうだ。さすがにやりすぎだろうか。
46. Antisymmetric linear magnetoresistance and the planar Hall effect, doi.org/10.1038/s41467-019-14057-6
planarホール効果は時間反転に関して対称で磁気抵抗の異方性に関する知見が得られるというのが一般的な理解だ。この論文では磁化と磁場を別々に考えて、磁化に垂直に磁場をかけながらplanar Hallを測ると異常速度に関係する応答が出ることを指摘している。
45. Nuclear magnetic ordering in simple metals at positive and negative nanokelvin temperatures, doi.org/10.1103/RevModPhys.69.1
固体中の原子核スピンもうんと冷やせば磁気秩序をするようだ。65Cu: 58 nK, PrCu5: 40 mK, PrCu2: 50 mK, PrCu6: 2 mK.
44. Variation of the period of the magnetic ordering in the heavy rare earth metals, doi.org/10.1088/0370-1328/85/6/319
磁気周期の温度依存性を理論的に扱った論文。たいてい計算は絶対零度で行われることが多いのでこういう取り扱いはなかなかみない。
43. Gravitational wave analogues in spin nematics and cold atoms, arXiv:2310.10078 (2023). https://arxiv.org/abs/2310.10078
冷却原子系の励起が重力波のアナロジーを持つようだ。
42. Observation of a Geometric Hall Effect in a Spinor Bose-Einstein Condensate with a Skyrmion Spin Texture, Phys. Rev. Lett. 111, 245301 (2013). doi.org/10.1103/PhysRevLett.111.245301
冷却原子系のスピノールBEC状態でスキルミオンが出ることはよく知られているが、そこでホール効果が見られたようだ。いわゆるトポロジカルホールのこと。
41. Enhanced Kondo Effect via Tuned Orbital Degeneracy in a Spin 1=2 Artificial Atom, Phys. Rev. Lett. 93, 017205 (2004). doi.org/10.1103/PhysRevLett.93.017205
量子ドットの近藤効果でSU(4)が出てくるときもある。
40. Skyrmion versus vortex flux lattices in p-wave superconductors, Phys. Rev. B 79, 014517 (2009). doi.org/10.1103/PhysRevB.79.014517
p波超伝導で発現するスキルミオンの理論。p波超伝導が存在しないので検証は困難。
39. Skyrmion zoo in graphene at charge neutrality in a strong magnetic field, Phys. Rev. B 103, 035403 (2021). doi.org/10.1103/PhysRevB.103.035403
グラフェンのスピン x バレーに関する4自由度に起因して発現するSU(4)スキルミオンの理論。図がきれいでわかりやすい。
38. de Haas-van Alphen Effect and the Specific Heat of an Electron Gas, Phys. Rev. B 8, 2649 (1973). doi.org/10.1103/PhysRevB.8.2649
量子振動が外部磁場Hextの逆数の関数でなく、磁化(M)と反磁場(μ0Hd=−NdM)を考慮したB=μ0Hext−NdM+Mの逆数の関数であるということがShoenbergの教科書に書いてある。そこで引用している論文がこれである。しかしよく読んでみると電子スピンの寄与を考慮していない理論であり、不完全であると言わざるを得ない。例えばFeの磁化は電子スピンが出しているはずなので、Mを量子振動の磁場の補正に使うことは正当化されない。どういうことなんだろう?参考: doi.org/10.1103/PhysRevLett.10.227, doi.org/10.1119/1.1990867
37. How Are Heavy and Itinerant Electrons Born in a Dilute Kondo Alloy?, J. Phys. Soc. Jpn. 81, 054703 (2012). doi.org/10.1143/JPSJ.81.054703
重い電子系でフェルミ面が温度に依存して変化することで量子振動の振動数が温度依存する。振動数変化量が15 Tだと言っているがもともとの振動数がいくつなのかがどこにも書かれていないのでとても読みにくい。
36. Fermi volume as a probe of hidden order, Phys. Rev. B 88, 075102 (2013). doi.org/10.1103/PhysRevB.88.075102
量子振動をつぶさにみれば隠れた秩序も現れる。後で読もう。
35. Temperature Dependence of the Exchange Splitting in Ferromagnetic Metals I. Information from the de Haas–van Alphen Effect in Iron, Can. J. Phys. 52, 694 (1974). doi.org/10.1139/p74-094
強磁性体は電子バンドの分裂(exchange splitting)によって自発磁化が発生している。そのためフェルミ面の大きさ(= 量子振動の振動数)は温度依存するはずである。Feを測定した結果、期待ほどの変化はなかったことを報告した論文。これは磁化の減少がスピン波によっておこるので磁化∝分裂幅の関係性が成り立っていないためである。一方でZrZn2の場合は顕著な振動数の温度変化が起きている(doi.org/10.1103/PhysRevLett.99.196405)。参考: Ni3Al doi.org/10.1016/0304-8853(84)90371-8, doi.org/10.1088/0305-4608/14/9/019
量子振動の振動数の温度依存性は非磁性のフェルミ面でも一般的に起きることが期待できる。ゾンマーフェルト理論によると金属の化学ポテンシャル(μ)はフェルミエネルギー(EF)に関してμ(T)=EF(1−13(πkBT/2EF)2)の温度依存性を持つ。EFが十分小さくて量子振動が十分高温まで生き残ってくれるなら観測できる(doi.org/10.1038/s41467-021-26450-1)。
34. Description of multipole in f-electron systems, J. Phys. Soc. Jpn. 77, 064710 (2008). doi.org/10.1143/JPSJ.77.064710
Stevens因子、Lande因子などが表になっているので参照用。
33. High-throughput electronic band structure calculations: challenges and tools, Comput. Mater. Sci. 49, 299 (2010). doi.org/10.1016/j.commatsci.2010.05.010
各結晶格子のブリルアンゾーンの高対称点の名前がまとまっているので参照用。
32. Phase shift of cyclotron orbits at type-I and type-II multi-Weyl nodes, Phys. Rev. B 98, 121403(R) (2018). doi.org/10.1103/PhysRevB.98.121403
量子振動に関する電子の軌道がワイル点を介して八の字になるときの位相の理論。θパラメータの物理的意味が不明確。
31. Rules for phase shifts of quantum oscillations in topological nodal-line semimetals, C. Li et al., Phys. Rev. Lett. 120, 146602 (2018). doi.org/10.1103/PhysRevLett.120.146602
量子振動の位相がフェルミ面の曲率、次元性、そしてベリー位相によってかわることはよく知られているが、論文で言及されるときはどれも場合分けを尽くしていないか、どういう状況のときの結論なのかあいまいさの残る記述なので混乱が生じている。はっきりとまとめられている論文がこれである(ただし高調波は無視している)。特にキャリアが電子的かホール的かによって位相の符号が反対になることをはっきり書いているのはほかに見当たらない(本当か?導出過程要確認)。
振動の位相ϕは一般にϕ=−1/2+ϕB/2π+ϕ3Dで与えられる。ϕBはベリー位相、ϕ3Dは次元性による因子。なお、抵抗の場合はΔρ∝cos(2π(F/B+ϕ))だが磁化の場合はΔM∝sin(2π(F/B+ϕ))というように測定手法によって振動がcosine/sineになるので一般的にはさらに±π/4のファクターを考慮する必要がある。
30. Linear magnetoresistance in metals: Guiding center diffusion in a smooth random potential, J. C. Song, G. Rafael, and P. A. Lee, Phys. Rev. B 92, 180204(R) (2015). doi.org/10.1103/PhysRevB.92.180204
Disorder potentialとサイクロトロン運動の長さスケールの関係で半導体・半金属中のキャリアの易動度は磁場依存することもあることを指摘している。2-バンドモデルなどでは通常、易動度は磁場によらない定数とされることが多いがそうでないこともあるようだ。
29. Time reversal and reciprocity, O. Sigwarth and C. Miniatura, AAPPS Bulletin 32, 1 (2022). doi.org/10.1007/s43673-022-00060-5.
時間反転と相反性の違いを議論している。doi.org/10.1103/PhysRevB.82.245118も参照。
28. Acoustic-optical phonon scattering observed in the thermal conductivity of polydiacetylene single crystals, M. N. Wybourne and B. J. Kiff, J. Phys. C: Solid State Phys. 18, 309 (1985).
ポリジアセチレンの低温(1 K < T)熱伝導がT1/2に比例する理由を音響フォノンの光学フォノンによる散乱として説明しているようだ。昔の人は謎の中性粒子の存在を知らなかったのかな?
27. Optical activity in tellurium induced by a current, L. E. Vorob'ev, E. L. Ivchenko, G. E. Pikus, I. I. Farbshtein, V. A. Shalygin, A. V. Shturbin, JETP Letters 29, 485 (1979). http://jetpletters.ru/ps/1454/article_22128.shtml.
キラル物質のテルルに電流を流すともともとある自然旋光性に加えて非相反な旋光性が現れるらしい。電流が流れると磁化が出ることと関係しているのだろう。例によってGoogle Scholarには出てこないのでメモ。
26. Nonreciprocity of natural rotatory power, P. J. Bennett, S. Dhanjal, Yu. P. Svirko, and N. I. Zheludev, Optics Letters 21, 1955 (1996). doi.org/10.1364/OL.21.001955.
キラルな物質で起きる自然旋光性は相反現象で、強磁性体でのファラデー回転は非相反現象であることは学部生教科書レベルの光物性における常識である*。誘電率テンソルの対称性に由来するのだが、実はこれには抜け道があることを議論している論文。以下も参照doi.org/10.1103/PhysRevB.50.11508, doi.org/10.1016/0375-9601(93)90150-X, doi.org/10.1364/OL.20.001809。同一グループからの報告が大半を占めており、まだ確立はしていないようだ(doi.org/10.1364/OL.23.000086)。
25. Ordering Up the Minimum Thermal Conductivity of Solids, K. E. Goodson, Science 315, 5810 (2007). doi.org/10.1126/science.1138067.
固体中の熱伝導の下限に関する考察らしい。doi.org/10.1103/PhysRevB.46.613, doi.org/10.1038/s41563-021-00918-3
24. Some new conservation laws, D. Finkelstein, and C. W. Misner, Ann. Phys. 6, 230 (1959). doi.org/10.1016/0003-4916(59)90080-6.
物理へのトポロジーの応用をレビューした論文。R. Shankar, J. Phys. 38, 1405 (1977) (doi.org/10.1051/jphys:0197700380110140500)も読もう。
23. Bulk characterization methods for non-centrosymmetric materials: second-harmonic generation, piezoelectricity, pyroelectricity, and ferroelectricity, K. M. Ok, Chem. Soc. Rev., 35, 710 (2006). doi.org/10.1039/B511119F.
第二次高調波, 圧電性, 焦電性, 強誘電性をつかって反転対称性の破れを検出する実験的手法に関するレビュー。Data interpretationに関しても書いてありそう。
22. Conduction in glasses containing transition metal ions, N. F. Mott, J. Non-Crystalline Solids, 1, 1 (1968). doi.org/10.1016/0022-3093(68)90002-1.
ガラス的な非晶質系での電気伝導好き。似たような論文にI. G. Austin, and N. F. Mott, Polarons in crystalline and non-crystalline materials (doi.org/10.1080/00018736900101267)もある。いつか読もう。
21. Possibility of observation of giant oscillations of thermoelectric power in normal metal, A. V. Pantsulaya, A. A. Varlamov, Phys. Lett. A 136, 317 (1989). doi.org/10.1016/0375-9601(89)90824-4.
量子振動を解析するときに使うLK公式は抵抗や磁化には使えるが熱電能には別の公式が必要。ゼロKでゼロになる公式を導いているらしい。元論文のどの式がそれにあたるのかは、量子振動の理論の論文にありがちな次から次へと訳の分からない記号を定義した数式の羅列の中に埋もれてわからなくなっている。後から読む人のことを考えて論文を書かないのがこの分野の作法なのだろうか。振動振幅Aosc(T)は以下の式で与えられる(らしいが要確認)。
Aosc∝(XcothX−1)/sinhX,
ただしここでX=2π2pkBTm∗/ℏeB。pは振動のharmonicsの数。
20. An introduction to spinors, A. M. Steane, arXiv:1312.3824 (2013). doi.org/10.48550/arXiv.1312.3824.
スピノールの入門的解説。
19. Magnetic Solitons, A. M. Kosevich, B. A. Ivanov, and A. S. Kovalev, Phys. Rep. 194, 117 (1990). doi.org/10.1016/0370-1573(90)90130-T.
スキルミオン、ホップフィオンを含む様々な磁気ソリトンのレビューしている。Kosevichは量子振動のLK公式その人。Google ScholarでヒットしないJETPなどの文献を探すときはここからあたるといいだろう。
18. Domains and dislocations in antiferromagnets, I. E. Dzyaloshkinskii, JETP Lett. 25, 110 (1977). jetpletters.ru/ps/1388/article_21067.shtml.
反強磁性体における転位(dislocation)型のトポロジカルソリトンを考察している。Google Scholarにヒットしない。反強磁性体のドメインを議論するときにいつか引用したい。実験的にはNiOで観測がある(doi.org/10.1038/nnano.2013.45)が、本論文の言及はなし。
17. Chiral spin states and superconductivity, X. G. Wen, F. Wilczek, and A. Zee, Phys. Rev. B 39, 11413 (1989). doi.org/10.1103/PhysRevB.39.11413.
スカラースピンカイラリティの表式が出てくる論文。これ以上古い論文があるかは探していないのでわからない。P. A. Lee and N. Nagaosa (doi.org/10.1103/PhysRevB.46.5621)にも議論がある。どちらも高温超伝導の文脈での話なのでそれが磁性体のホール効果の測定誤差と見分けのつかないほんの些細な折れ曲がりを説明するためだけに流用されている現実は退廃的で文学的である。
16. Origin of the geometric forces accompanying Berry’s geometric potentials, Y. Aharonov and A. Stern, Phys. Rev. Lett. 69, 3593 (1992). doi.org/10.1103/PhysRevLett.69.3593.
スキルミオンのトポロジカルホール効果を理論的に考えた論文としてはP. Bruno et al., (doi.org/10.1103/PhysRevLett.93.096806)が有名だが上記論文は導出過程が丁寧。磁気テクスチャ―上を運動する電子はスキルミオン密度ϵμνλnμ(∂xnν)(∂ynλ)による創発磁場とは別にスカラーポテンシャル(∂inμ)2も受けるわけだがこの効果はあまり議論されることはないのでなにか考えても面白いかもしれない。
15. Anomalous Transport Phenomena in Eu-Chalcogenide Alloys, T. Kasuya and A. Yanase, Rev. Mod. Phys. 4, 684 (1968). doi.org/10.1103/RevModPhys.40.684.
磁気ポーラロンの勉強で見つけた。磁性と伝導電子が共存する系の物理をちょっとずつ勉強しよう。
14. New mechanisms for magnetic anisotropy in localised S-state moment materials, D. A. Smith, J. Magn. Magn. Mater. 1, 214 (1976). doi.org/10.1016/0304-8853(76)90069-X.
遍歴電子系でRKKYの高次摂動から磁気相互作用の異方性が出てくることが議論されている。JMMMの第一巻。
13. Varieties of magnetic order in solids, C. M. Hurd, Contemporary Phys. 23, 469 (1982). doi.org/10.1080/00107518208237096.
speromagnetism, asperomagnetism, mictomagnetism, sperimagnetismなどが議論されている。いつか出会う日が来るのだろうか。
12. The physics of manganites: Structure and transport, M. B. Salamon and M. Jaime, Rev. Mod. Phys. 73, 583 (2001). doi.org/10.1103/RevModPhys.73.583.
マンガン酸化物のレビュー。電気抵抗の理論パートは参考になりそう。
11. Some exact results for dilute mixed-valent and heavy-fermion systems, P. Schlottmann, Phys. Rep. 181, 1 (1989). doi.org/10.1016/0370-1573(89)90116-6
抵抗の議論。磁気抵抗の解析でもたまに使われている。長い。
10. Dependence of magnetoresistivity on charge-carrier density in metallic ferromagnets and doped magnetic semiconductors, Pinaki Majumdar & Peter B. Littlewood, Nature 395, 479 (1998). doi.org/10.1038/26703
磁気抵抗とキャリア密度の関係を考察した論文。キャリア数が少ないと磁気抵抗は大きい。当たり前?そんなことはない。
9. Experiments on simple magnetic model systems, L. J. de Jongh, and A. R. Miedema, Adv. Phys. 23, 1 (1974). doi.org/10.1080/00018739700101558
ザイマン乱れの物理学で引用されていたので知った。ちゃんと読んでないけど多分いいまとめ。
8. Conduction electron polarization of gadolinium metal, L. W. Roeland et al., J. Phys. F: Met. Phys. 5 L233 (1975). doi.org/10.1088/0305-4608/5/12/003
Gdの磁化はGd3+から予想される7 μBより0.63 μB大きい。これは5d軌道の伝導電子が磁化に寄与していることを示唆している。バンド計算は例えばdoi.org/10.1016/S0304-8853(98)01054-3. 同様のTbでの実験はdoi.org/10.1016/0304-8853(78)90122-1.
7. Magnetoresistivity as a probe to the field-induced change of magnetic entropy in RAl2 compounds (R=Pr,Nd,Tb,Dy,Ho,Er), J. C. P. Campoy, E. J. R. Plaza, A. A. Coelho, and S. Gama, Phys. Rev. B 74, 134410 (2006). doi.org/10.1103/PhysRevB.74.134410
磁気比熱とspin-disorder抵抗との間の関係を調べた論文。こんなにきれいに合う例は逆に珍しいのでは?de Gennes因子との比較はdoi.org/10.1016/0038-1098(69)90728-5
6. Real-space Berry curvature of itinerant electron systems with spin-orbit interaction, Shang-Shun Zhang et al., Phys. Rev. B 101, 024420 (2020). doi.org/10.1103/PhysRevB.101.024420
電子が非共面的な磁気構造をもつ格子上をホッピングしていくときにどのような位相を獲得するのかを式変形を丁寧に追いながら説明している。他の論文では省略されていることが多い。
5. Chirality-Induced Phonon Dispersion in a Noncentrosymmetric Micropolar Crystal, J. Kishine, A. S. Ovchinnikov, and A. A. Tereshchenko, Phys. Rev. Lett. 125, 245302 (2020). doi.org/10.1103/PhysRevLett.125.245302
カイラルな結晶のフォノンの理論。何回か読もうとして挫折してるのでいつかちゃんとよみたい。以下のレビューも参照: doi.org/10.7566/JPSJ.92.081006
4. Long-range order and the electrical resistivity, P. L. Rossiter, J. Phys. F: Met. Phys. 10, 1459 (1980). doi.org/10.1088/0305-4608/10/7/014
合金系や磁性体の電気抵抗の理論。これらの系の相転移はBragg-Williams理論によって説明できることが多い。相転移は秩序度Sを導入してその温度依存性で記述できる。そのような系における電気抵抗を考えたとき散乱確率1/τSは無秩序度1−S2に比例し、秩序が発達することによるキャリア数neff(S)(や有効質量)の変化は1−AS2に比例すると考える。ここでAは現象論的パラメータ。長距離秩序発達に伴う電気抵抗変化の成分を以下の式で与えている。磁性体では磁化率や比熱などでSを計算できる場合もあるのでそれを使えば少ないパラメータで抵抗の温度依存性を再現できる場合もある。
ρmag(S,T)∝[(1−S2)/(1−AS2)]
3. Spin-Disorder Scattering and Magnetoresistance of Magnetic Semiconductors, C. Haas, Phys. Rev. 168, 531 (1968). doi.org/10.1103/PhysRev.168.531
磁性半導体中のspin-disorder散乱の理論。モビリティの温度依存性と局在スピン系の磁化率とを関連づけているので、電気抵抗率の温度依存性と磁化カーブとを比べて電子-スピン間交換相互作用パラメータJsdを見積もることができる。ρ−TカーブのKondo-like minimumを再現することもできる。
2. Anisotropic magnetization, specific heat and resistivity of RFe2Ge2 single crystals, M. A. Avila, J. Magn. Magn. Mater. 270, 51 (2004). doi.org/10.1016/S0304-8853(03)00672-3
希土類元素Rを含む化合物の比熱について解析するとき非磁性成分(電子比熱やフォノン比熱)については非磁性元素R= Y, Luを含む同型の化合物の値で代用する場合が多い。フォノン比熱はイオンの重さMによって異なるはずのなので下記の内挿公式を与えている。
CRnonmag=CLup−(CLup−CYp)M3/2Lu−M3/2RM3/2Lu−M3/2Y
ただし希土類化合物の音響フォノンのデバイ温度が組成式中の希土類Rの種類にのみよって決まるという仮定が入っている。たとえば組成式がRAl10のように極端な場合を考えればわかるようにこの仮定は一般には成り立たない。鵜呑みにするのは危険である。
また電子比熱の変化は取り入れられていないのでRごとに違うフェルミ面や状態密度、有効質量の効果は別に取り入れた方がよいだろう。
1. Relation between the specific heat and susceptibility of an antiferromagnet, M. E. Fisher, Phil. Mag. 7, 1731 (1962). doi.org/10.1080/14786436208213705
磁気比熱と磁化率の関係Cp(T)∝∂(Tχ)/∂Tについて導出している。複雑な磁気転移をする物質では全然成り立たない。単純な磁気構造だと磁化カーブも単純になり成り立つようだ。何らかの事情で比熱が測れないときに磁化測定だけでエントロピーを議論したいときに使えそう。
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